皆さんは自分のことが好きですか?
中には「自分が大好き」と自信満々の人もいるかも知れません。
ですが日本で暮らす人達の中で、思い切り堂々とそのように思える人など果たしてどれぐらいいるでしょうか?
ほとんどの人たちが多かれ少なかれ、意識的には感じないレベルのものまで含めて自分に対する嫌悪感や不甲斐なさ、憤りを感じた経験があって、常にそういった感情とどうにか折り合いをつけて生活しているのではないかと思います。
今回の記事では、ときに嫌悪感や不甲斐なさを感じるほど自分嫌いになってしまう心理、そしてその望まぬスパイラルから抜け出す克服方法をお伝えしていきます。
自分が嫌いとはどういう事か
「自分が嫌い」そのような感情は不快極まりない、そしてその気持ちのぶつけどころもなく、何だか自分が八方ふさがりに陥ったかのような感覚にさえ陥ります。
もしあたなが自分の事嫌いだとして、その人がいつからそのような感情を抱くようになったのかは分かりませんが、ある人は大人になるに連れてだんだんと、ある人は職場での失敗や失恋を経験して以来、そしてある人は理由はわからないけれど物心ついた頃から今までずっと。。といういくつかのパターンが考えられるでしょう。
自分が嫌いになると、必然的に自信は奪われ自分を信用できなくなり、やることなすことは裏目に出る。裏目に出るから物事や人間関係に消極的になってしまいチャレンジ精神は削がれていってしまう。
ついには社会から自分がどんどん隅の方に追いやられていくような気持ちになり。。
と書き出せばきりがありませんが、人生単位でみても非常に非生産的でしかないこのリズムを取っ払わない理由はありません。
ここであらためて「自分が嫌い」という心理について、一段階深く掘り下げてみるとそこに見えてくる言葉の1つとして「自意識過剰」というものがあげられます。
ではこの自意識過剰とは一体どういう事なのでしょうか?
例えば自分の見た目にコンプレックスがあるという人を例に挙げてみましょう。
例えばですが「つり目が嫌だ」「一重が気になる」「出っ歯である」etc…など色々あると思いますが、実際これらの特徴を持った人達だけでもゴマンといるわけです。
その同じ特徴を持った人達の中でも、それをコンプレックスと捉える人と捉えない人とに分かれるわけですが、更にいうとその同じ特徴を持った人達でも自分を好きで自信を持っていられる人と、それを受け入れる事ができずに自分を嫌いになって自信を失ってしまう人とに分かれるわけです。
自分がコンプレックスだと思っている部分があったとしても、「同じ特徴を持っている人は自分だけではない」という事実と、その中でもそれをコンプレックスに思う感じる人とそうでない人とに分かれるわけですね。
自意識過剰の人というのは大体「自分だけが」とか「自分ばかりが」という考えに強く固着している傾向があります。
世界中、いや日本だけでみても全国を探し回れば自分と同じ特徴を持った人達がたくさんいるわけです。
それでいてそれを気にする人と気にしない人という分かれ道があるのです。
なのに自意識過剰になってしまうと「自分が、、」「自分の、、」と自分ばかりに意識が向くようになります。
そうすると周りの人達全員も、さも自分の妙な噂を立てて自分に注目しているに違いないと思い込むようになります。
そして自分に意識を向ければ向けるほど、どんどん自分を委縮させてしまい、言動が不自然になったり、周囲の誤解や勘違いも生まれるなどして苦しくなります。
これは見た目にコンプレックスがあるから自分のことが嫌いという人に限らず、「自分のことが嫌い」という人ほとんどに共通してみられるのがこの「自意識過剰」というものです。
人間誰しも自分に興味があるのは当然のことですが、この興味が強くなりすぎると自分のネガティブ(あるいはネガティブだと認識しているだけ)な側面にその矛先が向いたとき、「自分が嫌い」という厄介な感情に見舞われることになるのです。
自分が嫌いという心理
さてこの「自分が嫌い」という非常に厄介な感情の裏にはどのような心理が働き、そしてどのような経緯でそれを感じるに至るのでしょうか?
まず大前提として明らかなのは、「感情は思考から作られる」ということです。
あなたが常日頃考える思考そのものが、あなたが感じる感情そのものになっているんですね。
思考をもう少し大きな定義で捉えてみると、「認知」という言葉で表すこともできます。
認知とは「思考あるいは知覚、そして今この瞬間を含めたあらゆる瞬間に対する物事における考え方」のことをいいます。
まさにこの認知こそがあなたの心理背景にあるものから作り出され、「自分が嫌い」という感情を生み出す元となっているのです。
例えば約2000年前のギリシャの哲学者、エピクロスという人のこんな言葉があります。
人は物事によってではなく、それらについての自らの考え方によって悩み苦しむのである
同じ物事や人に対しても、それに対する認知が違えば心理状況、そしてそこから感じる感情が違うというのです。
だから先ほど例にあげた「同じ特徴を持っていても自分を嫌いになる人とならない人とに分かれる」ということが起こるんですね。
当たり前といえば当たり前のような気がしますが、人はこの認知のおかげで喜んだり苦しんだりしているわけです。
自分が嫌いという事で悩んでいる方は、極論をいうと「自分を嫌いになって感じる不快な感情を取り除くことで、ハッピーな感情になりたい」と感じているのではないでしょうか?
自分を好きになって自信を持ちながら自由な思考と行動で人生を生き、望むものを手に入れて幸せになりたいからこそこの記事を読んでくれているのだと思います。
あなたの感じる「自分が嫌い」と感じる心理の元にはあなたの物事に対する、この場合で言えばあなたの犯した失敗や間違いに対する「認知」があるということが分かりました。
ここで少し具体的な例をみてみましょう。
例えばあなたが嬉しい、あるいは不快な感情を感じるときのパターンとして、ここまでこの記事を読んでみた感想が「なるほど、この記事を読み進めてみれば、自分にとってなにかしら有益で興味のある情報が見つかるかもしれない」という場合と「認知とか思考とか何を言っているんだ、この先を読んだところで自分は退屈をするだろう」と考えた場合でのあなたの感情に対する影響はどのようなものになるでしょうか。
前者の場合だと「何だかちょっと楽しみな感情」後者の場合だと「下らないと言わんばかりの憂鬱で、不快な感情」になることは明らかでしょう。
自分に対するイメージを持つときも
と考えた場合と
と考えた場合とでは、その後のあなたの感情に与える影響のベクトルは180度変わります。
このように、自分が自分をどのように認識するのか、つまりどんな“自己イメージ”を持っているのか?という認識によって自分が「好き」とか「嫌い」などの感情を作られます。
つまりあなたが持っている“自己イメージ”が自分嫌いの心理の元です。
自分嫌いを克服する方法
自分を嫌いになる心理を一通り解説したところで、その不快な感情から脱出する克服法についてお伝えしていきます。
前章で見たように、自分が自分をどのように認知するか、すなわち自己イメージが「自分が嫌い」という感情を作っているという事がわかりました。
ということは、その「自分が嫌い」という感情を克服するにはあなたの自分に対する、あるいは物事に対する「認知」を変える必要があります。
自分が嫌い、憎い、無能と感じる、自分の無価値観への悩みに関する内容は記事の記事もご覧ください。↓
その自分嫌いの心理背景には「自分が自分をどう認識しているか?」という“認識”の世界が作り上げるマジックが根本部分にあります。
人間は、よくよく考えると事実無根のことでも、「そうである」と誤った解釈や認識を持ってしまうことがたくさんあります。
しかも脳というのは「自分が見たいものしか見ない」という性質があるため、実際に「そうである」と感じているものしか見えないし、様々な現象や情報を見聞きしても、自分が信じ込んでいる方向に関連付けて捉えてしまいます。
ここから“認識のズレ”が起こってきます。
認識のズレを別の言葉で表現すると
ともいえます。
その現実とあなたのそれに対する思考である「認知のズレ」を解消することが「自分嫌いを」克服する最大の鍵となっているのです。
そこで筆者が本気でおすすめする自分嫌いの克服法は「認知療法」と呼ばれるものです。
この認知療法こそが先ほど申しました「認識のズレ」を解消していく方法なのです。
この認知療法、一般的には病院や心理カウンセリングなどで行うものだと思われていますが、確かにそのような方法もありますし、先生の腕が良ければその効果は絶大かも知れません。しかし実はこの方法は自宅だろうが出先だろうが一人でもできるものなのです。
療法なんて書くと立派に聞こえますが、やることは自分の認識の歪みを知り、そして見つめて正しい認識へと修正する。
というのが認知療法の本質です。
方法は様々ありますが、ここで紹介する方法は家でも一人でもできる非常にシンプルなものにします。
まず「自分が嫌い」だと思う理由を思いつく限り箇条書きで紙に書き出してみましょう。
このときに書き出し箇条書きに対して、その1つひとつに「その何が問題であるのか?」という理由、解説を加えて書いていきます。
そしてその解説に対して「その何が問題であるのか?」と解説を書いてみます。
そして更にその解説に対して解説を書いて、、、と解説が続く限り繰り返していきます。
そして次に、その解説に対して合理的と思える考えを添えていきます。
例えばこんな具合にです。
- (自分が嫌いな理由)
↓
- (その何が問題であるか)→***
- (合理的な考え)→***
↓
- (その何が問題であるか)→***
- (合理的な考え)→***
↓
- (その何が問題であるか)→***
- (合理的な考え)→***
形としてはこんな感じです。
では具体的な内容の例も加えてみましょう。
- (自分を嫌いだと思う理由)いつも失敗ばかりする
↓
- (その何が問題であるか)→人に迷惑ばかりをかけてしまい自分が信用できなくなり落ち込む
- (合理的な考え)→だいたいいつもっていうのはいつだろう。少なくとも上手くいったこともやれていることもあるだろう。失敗をしたそのときは確かに迷惑をかけたかもしれない、だけどその失敗のおかげで今までのやり方を見直して改善、更なる自分の成長に繋がるキッカケとなっているし、今までを振り返ってみてもそうだったじゃないか。うまくいかない時期は誰にでもあるんだし、もしそうだとするならば、今は大きく成長している時期だとして喜んでもいいぐらいだ。
↓
- (その何が問題であるか)人に嫌われるし自信を失って生活が楽しくなくなる
- (合理的な考え)→必ずしも人に好かれる必要はないし、人に嫌われたからといって自信を失う根拠にはならない。人に嫌われようが自信を失おうが自分で生活も人生も楽しく充実させたものにできる。
↓
- (その何が問題であるか)自分は社会の邪魔者で、人に迷惑ばかりかけている気になる。自分の人生は無価値で意味のないように思えてくる。
- (合理的な考え)→誰だって人に迷惑をかけてしまうことぐらいある。邪魔ものだなんて誰も思っていない。実際にそのように思っている人がいたとしても、それは人の気持ちなど何も分からないひねくれ者だ。人生の価値なんて一体誰が決めれる?それが無価値なんてのはただの自分の思い込みだろう。
↓
- (その何が問題であるか)→***
- (合理的な考え)→***
ここで合理的な考えを書くときの注意点として、無理にポジティブな事を書こうとしなくてもいいという事です。このワークの目的は、自分の心の声を客観的に見つめ、正しく書き換え修正していくことなので、ある意味機械的作業のように行っていきます。
認知療法そのものについての詳しい説明や解説がなされた書籍を以下に紹介しておきます。
“自己イメージ”すなわち“自己に対する認識”を変える事が「自分嫌い」を克服する最大の鍵になります。
そしてこれは頭の中だけでやろうとしても上手くいきません。必ず紙に書きながら行う必要があります。
自分が嫌いな理由、その何が問題であるか、合理的な反応で出てきた思考をそれぞれ目視して比較しつつ、内面をじっくり客観的に見つめるためです。
「克服したい」という強い意志があれば必ず役に立ちますので是非試してみてくださいね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回の記事では自分嫌いの心理の裏には、その人の認識が大きく関与していて、自分嫌いという非常に不快で厄介な感情を克服する方法について解説してみました。
特にこの克服方法は非常にシンプルで、どこにいても一人でも出来るというとても手軽でありながら効果絶大の認知療法の手法です。
家に帰ってきて、その日にあった嫌な記憶が頭の中を巡るばかり、あるいは自分に対する不甲斐なさや失望に打ちひしがれ何もする気が起きないときなどにこそ有効です。
または長い間慢性的に自分嫌いの感情に苛まれて苦しいという方は、自分に対する嫌悪感や不快な感情が思考を巡りだしたとき、「不快な感情を与える考えの心理の裏には認識のズレがある」という事実を思い出して、3日間でも1週間でも気の済むまで、少しの合間を見つけてこの方法を実践してみてください。
いつの間にか自分に対する嫌な思考はほとんど影を潜め、以前と比べて明らかに楽に生きられている自分がいるはずですから。
「こんなことで自分嫌いが治るなら最初から苦労していない」とか「どうせ自分には効かないから」などと決めつけたり、面倒臭がらずにとにかくやってみることは大切です。
素直さを持ち、思い込みのマインドを捨てることが、自分嫌いを克服する大きなキッカケになります。