異常な緊張、発汗、それに伴うあがり症の克服

皆さんは人前で話すことに強い緊張や恐怖を覚えたことはありますか。実に日本人の約9割以上にも及ぶ人が人前で話しをすることに強い緊張や恐怖を覚えるそうです。

適度な緊張は高パフォーマンスを発揮するのにいい作用をもたらすのですが、それにプラスして異常なほどまでの緊張からくるあがり症や発汗が止まらないといった、通常の緊張だけとはまた異なる悩みに苦しめられる人がいます。

本人にとっては想像以上の苦痛を深い悩みをもたらすこの原因からその克服法を考えてみます。

人前での異常なまでの緊張、恐怖、あがり症は何故起こる

あがり症や発汗の症状を克服を考えるのであれば、まずは自分の中に存在するその原因を突き止めて理解することが近道になります。ほとんどの人が、自分のあがり症や緊張しやすい原因を、「自分はそういうタイプ」「自分はそういう性格」と決めつけて「あがり症」という枠に括って縛り付けてしまっています。

これも自分をあがり症から克服からあなたを遠ざからせている大きな要因の1つだと知る必要がありますが、そんなことはまだ置いといていいのです。その真の原因を注意深く探っていくと、辿りつくのは人間の脳みそに深く刷り込まれた本能によるものが大きく関係しているということが分かります。

まず人間の脳みそというものは、その作りをみてみると大きく分けて3層構造になっており、その層の1番奥に、原始的な本能を司っているとされる「爬虫類脳」と呼ばれるものがあります。この爬虫類脳には、自分以外の存在を敵視する本能、または「自分以外の存在は自分に危害を加える可能性のある存在であるかも知れない」という生存本能のために、危険を回避する目的でそのように認識しています。

生物は危険な状況、存在を目の前にしたとき、それらに対してすぐに戦ったり逃げたりできるように、交感神経優位の状態になります。交感神経が優位になると、瞳孔が開き、心拍数は上昇し、筋肉には力が入り、呼吸も浅くなります。そうすることで危険な存在からの攻撃やダメージから俊敏に反応して攻撃をかわしたり反撃したり、逃げたりするための準備態勢に入るのです。

これが例えば人間が人前で話すときなどには、交感神経優位になり緊張した結果、あがりを起こすというメカニズムです。生物は他の動物からの視線を感じると、「自分を獲物として狙っているのではないか?」という警戒心を起こすようになっていますので、あがり症の人というのは「人前に出る」「人に見られている」という瞬間、無意識に存在している爬虫類脳の危機状況察知センサーが強く働いている可能性があります。

このように人間の脳みそというのは、

  • 思考を司る人間脳
  • 感情系を司る哺乳類脳
  • 原始的本能を司る爬虫類脳

からなる3層構造それぞれの脳と、目の前に広がる現実世界とが相互に絡み合う関係となっているのです。

危機状況察知センサーの強さの度合い

この爬虫類脳の危機状況察知センサーですが、人によって明らかに強さの度合いやセンサーの反応するシーンが違ったりしています。それについての詳しくはこちらの記事にも書いていますが⇒「あがり症の原因」

過去の対人関係におけるネガティブな経験や情報に囚われてしまい、囚われの心が、対人関係や人前というそのものに対する「危機と感じる認知」を作り上げ、その認知が身体の交感神経優位の状態にし、緊張を強めさせてあがり症を何度も再現させるというパターンに関連付けされている可能性が高いです。

一旦その事実を抜きにして考えても、例えば人前で自分の考えを述べたり、思いを発信するという行為は、少なからず否定や批判をされるかも知れないというリスクを少なからず孕んでいるわけです。実際は真っ当な意見で、よほど過激、極端な発言でもなければそんなあからさまに批判も中傷もされることはほぼ皆無なのですが、爬虫類脳だけではその判別も論理思考もありません。

ところで人間の論理思考というのは、脳の1番外側にある大脳新皮質という「人間脳」が行っています。この人間脳こそが人の理性を働かせて、人間を人間たらしめる存在となっています。

しかしこの人間脳というのは、生物の誕生から人間が生まれるまでの進化の過程で、作られたのは大分後になってからのことです。人間社会の生活にはなくてはならないとは言え、人間の行動や活動の源泉、原動力となっているのは、やはり1番奥にある爬虫類脳の中の本能的な部分に根本が支配されているため、人間脳よりも爬虫類脳の方が威力、支配力が圧倒的に強いのです。

人が習慣や行動をなかなか変えられず、「分かっているのにやめられない」というような現象が起こるのも、実はこの部分の話に起因しています。つまり原始的な本能部分を使さどる、爬虫類脳の反応に対して、理性的、論理的思考を司る人間脳のアプローチを行ってもどうも効きが弱いというようなことが起こってきます。

つまり本能的に緊張したりあがりを起こしている自分に対して、「緊張する理由もあがる理由もない」と言い聞かせてみても、どうにも緊張が収まらないということになります。また、潜在意識の中には、過去に繰り返してきた、緊張やあがり症、発汗といった身体レベルでの記憶があるため、この身体の反応パターンもなかなか抜けにくくダブルでロックされた状態になってしまいます。

固定化されたあがり症を克服するなら身体を偽り、脳を騙す方法が有効

例えばゆったりとした呼吸は、脳が「今自分は落ち着いている」「リラックスしている」という認識を作り上げます。ゆったりと呼吸していることで、それを認識した脳は「あぁ、今自分は安心して落ち着いているんだ」と安堵感を感じます。

どうしてこのようなことが起こるのか。これは行動や本能(爬虫類脳)で行っていることに、思考、認識(人間脳)が後からついてきているからです。先ほども言いましたが、それぞれの命令の強さは人間脳<爬虫類脳という構造になっているので、人間脳で考えていることよりも、爬虫類脳で考えてしまうことが勝ってしまうのです。

願望<イメージ=顕在意識<潜在意識=人間脳<爬虫類脳

「○○になりたい」と願っている願望よりも、「△△になってしまったらどうしよう」というイメージが勝ってしまいます。顕在意識で「□□しよう」と考えたことは、顕在意識で考えている「本当は××したくないんだけど」という思いに敗れます。「あがらないように喋る」と人間脳で考えていることは、「危険だ、逃げなければ」と感じている爬虫類脳にあっさりと負けてしまいます。

もっと具体的に言うと、「成功者になりたい」と願う願望よりも、「失敗して貧乏になってしまったらどうしよう」というイメージが頭の中に存在してしまっているとき、必ず後者である「イメージの方」が勝利してしまうのです。同じく意識では「勉強しよう」と思ったとしても、「本当は大学になんか行きたくないんだけど」という思いが無意識にあるとき、必ず後者の「無意識の方」が勝利してしまいあなたは勉強をサボります。ここで下のような図式が成り立ちます。

願望<イメージ=顕在意識<潜在意識

人間脳と爬虫類脳も、これと同じように、

人間脳<爬虫類脳

であると言い表すことができます。つまり謎のあがり症や発汗を克服するには、この爬虫類脳のプログラムを書き換えてしまえば良いということです。その爬虫類脳のプログラムを書き換えるとき、イメージや潜在意識の力を用いることが非常に効力的になってきます。

ですが多くの人が克服に失敗する理由として、アプローチ力の非常に弱い顕在意識や人間脳、思考力で、原始的な本能行動を司る爬虫類脳をどうにかしようとしているからです。ですが実は先にも述べたように、人間脳と爬虫類脳では権限の威力に圧倒的な差があるので、それでは全く太刀打ちができずに失敗してしまうのです。ではどのようにしてその爬虫類脳のプログラムを書き換えてあがり症を克服していくか、ここでは次の図式が成り立ちます。


思考<行動

あまりにシンプルで単純すぎる回答に拍子抜けしてしまったかもしれませんが、シンプルなものこそ最も強力です。あがり症や発汗の克服に高度な思考やテクニックは必要ありません。ただ行動すればよいのです。

では一体どのような行動をすればよいのでしょうか。それが「体(行動)から脳(思考)を騙す」ということなんですね。つまり「行動(爬虫類脳)から思考(人間脳)」がついてくるのです。

皆さん経験があるかも知れませんが、例えば最初は怪我に気づかなかったのに、血が出て怪我をしているということが分かった瞬間から痛みを感じ始めるということはありませんか。あれは、血を見て怪我に気づくという「行動」が、だから自分は痛みを感じるはずだという「思考」を作り出すからです。

脳はそうやって外部環境から見聞きしたり感じたことを、自分の内部環境の思考や認識との間に矛盾が生まれないように整合性を取ろうとします。そうやって人は痛みを感じたり、喜びを感じたりするのです。

これってでも実は逆も然りなんです。自分の内部環境の中で「こうだ」と強く感じていることは、その整合性を保つために外部環境までもを変えてしまう力があるんです。「自分は絶対に成功する人間だ」と一切の疑念もなく信じているとき、内外環境の整合性を保つためにその人は本当に成功します。この話も語りだすと長くなりすぎるので別の記事でお話するとして、

話を戻して、例えば人前で話す順番を待っているときなんかに、心臓の鼓動を意識しだしたら緊張がマックスになりだしたということも同じです。これも、心臓の強い鼓動を感じるという「行動」に、自分は緊張しているに違いない「思考」という認識があとからついてきているのです。

もちろんもともとが多少の緊張をあらかじめ感じていたことも事実でしょう。それは爬虫類脳の生存本能の働きからは当然のことです。しかし当初の意識するまでの緊張レベル程度であれば、あがりやどもりを起こすほども何ら問題はなかった程度のものだったはずなのに、心臓の強い鼓動を感じるという行動が緊張をマックスまで引き上げたと考えることができます。

爬虫類脳へのアプローチ=体から変える

さて、ではあがり症克服に一体どういうアプローチ行動を取ればいいのかについてですが、頭で考えるのが駄目なら体から変えろということです。実は爬虫類脳へのアプローチとして最も有効なのは、この「体から変える」という行為なのです。

上の章では『思考<行動』と書きましたが、このときにいう「行動」とは主に「体から変える」ということのニュアンスを強く含んでいます。

私の考える、あがり症克服のための、最大の体を変える方法は「深くゆったりとした呼吸を行いキープする」ということです。呼吸さえ常に自分のペースで行うことが出来ていれば、あがることはまずありません。

人間脳、つまり思考から克服のアプローチのほとんどが無駄に終わるという事実が分かったからには、強制的に爬虫類脳の闘争、逃走プログラムの起動を終了させ、今この瞬間はひどく緊張したり息を上がらせるような危険な状況ではなく、安心していいのだという認識を与えてあげなければなりません。「人前で喋る」という行為を無作為に「危険な状況」だと判断し、条件反射的にあがりを起こさせるプログラムになっている爬虫類脳の思考回路を訂正する必要があるのです。

もう一つ付け加えるならば、これは私の持論ですが、例えば緊張して呼吸が浅く早くなっているときというのは、体内に取り込む酸素の量が少なくなるということですから、脳に十分な酸素が供給されなくなることから、更に頭が働かなくなり、その状況に対して「やばい」という焦りと共にパニックを起こし、「あがる」という現象が起きているとも考えられます。

瞬間的な危機を避けるために交感神経が優位となって、体が緊張と共に呼吸を浅くさせるのは突発力を高めるかも知れませんが、呼吸の浅くなっている時間が一定以上続くと、脳の酸欠状態により思考が働かなくなり冷静な思考や判断もできなくなるという、生物の生存本能的にもかえって危険な状況になるということです。何事も「まずは落ち着いて深呼吸」と言われる所以もここにあるのではないかと感じます。

話を戻しまして、要はこの深くゆったりとした呼吸を行い(爬虫類脳の暴走を防ぐための身体面からのアプローチ)、人前での落ち着いた思考、発言(人間脳)できる能力取り戻そうという、あがり症克服法です。

ゆったりとした呼吸は、脳が「今自分は落ち着いている」「リラックスしている」という認識を作り上げます。ゆったりと呼吸していることで、それを認識した脳は「あぁ、今自分は安心して落ち着いているんだ」と安堵感を感じます。

人間の脳は、外界で見たもの感じたものと、内界での認識の整合性を保つためにその誤差を埋めようとします。呼吸は脳の外界で行われる「行動(動作)」ですので、ゆったりとした呼吸を行っている自分を見て、脳は「今リラックスしている」という思考を行い、内外の整合性を保つことで納得します。

つまり頭であがり症にどうこう対処していてはいつまでたっても克服できません。体でしっかりと呼吸を行い、「あがらない体」の状態を先に作ってしまうのが正しい克服法です。マインド面で持つ必要のある考えとしては、「あがりや緊張は生物として自然な反応であり、思考を司る人間脳よりも優位である原始的な本能行動を司る爬虫類脳による危機状況での闘争本能や逃走本能が働いているのだな」という俯瞰的な認識だけです。

その認識を持った上で、深くゆったり呼吸という爬虫類脳から、「自分はリラックスしている」という人間脳の思考や認識をついてこさせる。これが結果的にあがり症を克服し自由に意思をコントロールできるマインドを作り上げていきます。心と体は一体であるからこそ、このアプローチは非常に有効です。

ちなみに慣れてくれば話は別ですが、緊張したりあがりそうになったときに土壇場で「ゆったりとした呼吸を」と意識しても、既に心がパニックになってしまっている状態ですと上手くいきません。普段から常に深くゆったりとした呼吸を意識して生活することが大事です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

あがり症や緊張による発汗の原因について、3層構造の一番奥にある、行動や思考をコントロール支配している最も原始敵な脳である爬虫類脳にその秘密が隠されているという部分から説明しました。爬虫類脳は生存本能など生物として最も根源的な欲求を守るために働いている原始的な脳ですので、あとから追加された人間脳の思考だけではとても太刀打ちできないほどに強力です。

そんな原始的な脳から思考をコントロールするためには、行動(動作)を変えることにそのキーがあり、その中でも呼吸法が最も効果的であるということをお伝えしました。なぜかと言いますと、心が緊張している状態というのは、交感神経が優位の状態になっていて、爬虫類脳が活発に働いています。

爬虫類脳が活発に働いているときというのは、危機的状況から瞬時に逃げるか戦うかの判断、動作を行うときに出る脳波ですから、脳は冷静な判断や思考、発言はできないのです。これが人前で起こると、頭や思考が回らなく、そしてまとまらなくなってしまい、言葉が詰まったりしどろもどろになってっしまいます。

そんな状態になっている自分に気が付いて、「やばい、ちゃんと喋らなければ」と焦ってしまった結果あがります。それがトラウマ化して常習化すればすっかりあがり症の出来上がりというわけなんですね。頭でいくらどう思考したところで、爬虫類脳の意思の強さには太刀打ちできません。

その爬虫類脳の活発さを抑えて、「これは危機的状況ではない」と分からせるために必要なのが「ゆったりとした呼吸です」そしてその落ち着いた呼吸を人間脳は認識したとき、「自分は今リラックスしている」と感じることができて、冷静な思考や言葉の使い方、発言ができるようになるということです。

脳を変える為に身体を変えることから行うアプローチ法には主に「言葉」「表情」「姿勢」「行動」が挙げられますが、この全てを統括するベースとなるのがこの「落ち着いた呼吸」になります。その他の「体から脳を変える」アプローチ法についてはまた後日書きますので、まずは是非普段から常にゆったりとした呼吸をキープして、爬虫類脳に好き勝手暴れさせないコントロール法をマスターしてみて下さい、。それはあがり症のみならず、人生におけるあらゆる克服に役立つはずです。

こちらの記事もご覧ください。⇒あがり症の原因


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